#6:積読本を読み進めます~16 冊目読了して

こんばんは。

 

今日は日本海側のフェーン現象により、最高気温が39℃を超える場所があったそうです。昭和生まれの私の子供の頃は、夏休みの絵日記に30℃を超えると暑い日と書いていました。気候変動の影響と言えるのでしょうか。

日中の移動時はご無理されませんように。

 

16冊目を読了しました。

「WHAT IS LIFE?」

ポール・ナース著

竹内 薫 訳

 

ポール・ナースは、1949年にイギリスで生まれ、遺伝学者、細胞生物学者。2001年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。これが初めての著作だそうです。

 

生物学の基礎知識があれば、もっと楽しめた一冊と思います。ですが、生物学の基礎を、コンピューター、スマホの情報機器、タービンや機関車のエンジン、理科で顕微鏡を通して観た玉ねぎの細胞の描写等を織り込み、とてもイメージしやすい内容でした。

 

生命の最小単位は細胞としながら、その中を覗き込み、遺伝子の解説を経て、生物学と科学、情報学との類似性を述べた後、今、世界が直面している課題(コロナ、気候変動、再生医療等)に対して、学問分野を超えた英知を集めて解決を図ろうと語り掛けているように感じました。

 

この本の中で、印象深かったポイントが4点あります。

1.性別、民族、宗教、社会階級、先祖と現代との比較では、DNAの暗号(ゲノム)の差異は1%未満にも満たないこと。

→「多様性」という言葉が身近になっています。生物学的に見れば、1%未満にも満たない差異の中に、人間は目を凝らして見つめているのかと思います。ゴリラと人間のゲノムは96%が同じそうです。生物学的な視点に包括的な愛情を感じました。

 

2.細胞は変異を修復する力があるが、完全にはうまくいかない。完全に修復するとすべての個体が同じになり、進化が止まる。長期的には不変と変化のバランスを保てる種が長期的に成功する。(生存しつづける。)

→不変と変化のバランスを保つことは、人としての成長を促すような表現だと思いました。


3.二酸化炭素が充満した世界に生まれた微生物の多くは、20~24憶年前の「酸素の大惨事」を経て終焉を迎え、酸化した世界に適合した生命体が現存している。

→現在は酸化した世界なのか、、と不思議な感じがしました。


4.「あらゆる生体は、自らを維持し、組織化し、成長し、そして増殖する。これらは、生物が自分と子孫を家族させたいという、基本的は目的を達成するために発達させてきた、目的を持った行動なんだ。」

→目的を持った行動の集積が進化であり、自然淘汰であると思うと、生物学は哲学的で深遠な世界観をイメージしました。

 

この一冊を通して、生物学に対して、実験と観察の学問と自分勝手に持っていたイメージが変わり、科学的で包括的な愛を感じます。

 

どのような本も、読み手の視点によって捉え方は大きく変わると思います。今回は特に生物学の知識がなく、人の心理に興味をもった私の視点を通した理解でした。将来、また手に取ると、印象が変わると思います。

この一冊を生物学入門として映像化したものを見たいと思いました。

 

健やかな一日をお過ごしください。

では、また。