#47:紙工芸を旅の目的のひとつにします

 こんにちは。

 

本日は、旅行・観光先から一つ。

紙工芸を旅の目的のひとつにします。(5-14)

 

皆さんが小学生の理科の実験時間に、紙漉きで葉書き判の紙を作ったことはありますか。または、社会科の見学で、紙漉きや製紙工場に行かれた経験はありますか。

私は、自然素材が人の手と技術によって姿を変えることにとても興味を持ちました。

 

ある雑誌の特集で、2種類の紙が紹介されていました。

  • 唐紙(中国渡来の紙、またはそれを模した紙。現在は襖に使われ、高い装飾性を持つ)
  • ドミノ・ペーパー(木版を使って図柄を印刷し、絵筆もしくはステンシルで色付けした、装飾用の紙)

それぞれの歴史、製造方法解説と併せて、京都とパリで活躍する2工房が紹介されていました。共に伝統的な手仕事のプロセスを活かしながら、それぞれに現代のデザイン感性で装飾性を高めている作品群が写真で掲載されていました。

紙に圧力をかけた凹凸模様に美しい色彩が流れ込み、絵画に見えてきます。

 

最近は、メモ、ノート、手紙などがデジタル化され、物理的に存在する紙の文具に手を触れる事が少なくなりました。それでも、年賀状やお祝い事に贈られるカードや水引があしらわれた熨斗袋は捨てがたく、ペンの握りやすさ、紙との相性による書き味等手に触れたモノから伝わる様々な感覚があります。

 

先日、友人から手紙を受け取りました。その手紙の西洋封筒の内側にはとても美しい花柄のデザインが多色印刷されていました。ある時、その封筒の話をすると、ひとつのエピソードが展開していきました。

友人は書道教授です。生徒さんのひとりに85歳の女性がいて、その方は30~40歳代をヨーロッパで過ごし、欧州雑貨がお好きだそうです。その生徒さんからイタリア雑貨のお土産で頂いた便箋と封筒だったとのこと。友人もスイスに住んだ経験があり、書道家として紙に触れる機会が多い人です。ひとつのモノから解かれた、友人と生徒さんの人生が交錯するお話を聴くことができました。

 

身の回りから少なくなった紙の文具だからこそ、自分がモノを選ぶ時は、自分の感性を信じたいと思います。その感性を育てる為に、歴史や製造方法、そこで技術を磨く人々を知りたい、と思いました。

旅先を決める目的の一つに紙工芸について訪れる場所があることを入れたいと思います。

 

健やかな一日をお過ごしください。

では、また。