#6:積読本を読み進めます~11冊目

こんにちは。

 

本日は、積読本を読み進める11冊目。(4-2)

 

すべては救済のために デニ・ムクウェゲ自伝

デニ・ムクウェゲ 著

ベッティル・オーケルンド 加藤かおり 訳

 

本書はコンゴ民主共和国の医師である著者が、母国で起こる紛争にて性暴力が武器として使われ、犠牲となった女性達の救命と治療を通して得た現状の改善を願い、国際社会に救済を求め、具体的支援が動き出すまでの自伝です。2018年にノーベル平和賞を受賞されました。

 

自分が、何故この本を手にしたのか、記憶に残っていませんでした。

次第に。読み進める手を止めたくなる程切ない思いがよぎります。

家族の炊事に使う薪を森に拾いに行き、犯罪に遭遇して犠牲となった女性達は、加害者を責めるのではなく、他者と性交渉を持った事実から自責の念を持ち、周囲の輪からも離れていかざる得ないこと。女性として、受けた被害に加え、幾重にも起こる障害。私個人の想像や共感などは追いつけない事実が描かれています。

国連で自国の窮状を訴えた著者は、国内からの抜本的支援や理解は得られず、命を狙われる事態に発展。自宅や診療所への襲撃から九死に一生を得ても、母国に戻り、各地の治療の現場に立ち続けます。母国と人々への愛が診療の現場に留めたように感じました。命を狙われる恐怖をはるかに超える深い愛はどこまでも強くてしなやか。その愛情が国際社会に伝播していきます。

 

著者の母国への深い愛やその強さは何処から湧いてくるだろう。自伝には、救われた患者たちからの声、同僚の医療従事者との絆、お母様の言葉、奥様の理解、海外の恩師や友人の支援等に触れられています。人々や偶然すらをも引き付ける、光の柱にも似た強い何かを著者の中に感じました。同時に大事を成す人は、「今」にとことん向き合い、自分の心の中に描いた未来を信じているように思います。

 

この一冊には、現在、地球上で起こっている事実と体験が書かれています。それらを知ったことで、日本に住む私個人が何を考え、これからどのように行動するのか。直ぐに答えが出てきません。今の気持ちに向き合います。

 

健やかな一日をお過ごしください。

では、また。