#34:小さな美術館巡りをします~その1 

こんにちは。

 

本日は、「小さな美術館巡り」についてです。

大田区立熊谷恒子記念館(東京都大田区南馬込)に行ってきました。

 

熊谷恒子(1893-1986)は、書道家で現代かな書の第一人者。美智子妃殿下(当時)の書道のご進講(教授)をされた方です。記念館は生前の住居を改装、作品展示をしています。年3回の展示替えがあるそうです。

記念館の入り口正面で、桜の樹にお迎えしていただき、館内の廊下の窓ガラス越しに丁寧に手が入った樹々と芝生の緑を観る事ができました。熊谷恒子が創作に使った書斎に置かれたガラス棚の中には、ご本人が使われた道具が並び、道具を大切にされたとの説明書きが添えてありました。

展示されたかな書を拝見するに従い、万葉集等の和歌集に対する理解、かなの基となる漢字の知識、茶道等日本文化への造詣が深ければ、とても楽しく、受け取るメッセージも多彩に広がると感じました。作品と解説書を見比べながら「自分自身の未知」が詰まった空間を巡っている感覚。これからの学びの可能性を感じるワクワクした気持ちもありました。

 

1階の奥には、熊谷恒子が残した「書道を学ぶ姿勢」にいて書かれた文章の一部がパネル展示されていました。私自身は書道経験が浅く、パネルの文字を追うように読んだのですが、その中から感じたことがありました。以下は私の中での意訳です。

  • 基礎を固めること。→どの道でも大成された方は基礎作りをされている。
  • 自分が書こうとしている文章を味わう。→目前の課題に対して調べ、向き合うことから始める。
  • 味わった時のその気持ちで創作するのもよい。→今、この瞬間の自分に正直であることは自分自身の価値でもある。
  • 創作に使う紙は、自分の力に応じた素直なものを選択すると良いだろう。→自分の力を俯瞰できる実務家としての冷静な視点も成果に繋げる大切なこと。

絶筆は、「ありがとう」と「うれしいここ路」。(額装展示されています。)

人生の最期に残す言葉としてこの2つを選べるのは、生きている日々をそう過ごされたのだろうと感じました。

 

今回の美術館巡りでは、充実した時と空間を味わうことができました。

 

健やかな一日をお過ごしください。

では、また。