#45:無駄を道草に変えて楽しみます
こんにちは。
本日は、一歩踏み出す時に思い返したいことです。
無駄を道草に変えて楽しみます。(7-9)
皆さんは、新しい事を始める時や今まで経験した事がない環境に対して、どのように行動したり、考えたりしますか。
「とりあえず、自分が思うように行動してみよう。」
「少し周囲の様子を観察してみよう。」
「失敗を避ける為に事前にしっかり準備しよう。」
等、様々なプロセスを通り、結果として一歩踏み出して今の場所にいると思います。
最近、過去の経験(特に失敗)を分析し、一歩踏み出す事にとても慎重な自分を発見しました。仕事で投資を伴う案件には、利益回収の確実な裏付けが必要ですし、リスク回避や備えと成果を求められます。特異な環境では、周囲の振る舞いや人となりを十分に確認し、大過なく過ごす行動をとる事もあります。それらは、社会の中の自分の役割でしかないのですが、役割としての行動が自分自身として行動する時の癖になっていると感じます。
そのような気づきと共にある展覧会のことが思い起こされました。
アメリカの写真家 ソール・ライター(1923-2013)の展覧会で目にした、赤い傘の莫大なフィルムと助手の言葉「もう、赤い傘はたくさんです!」
ソール・ライターはニューヨークの街やそこで生活する人々の日常を写真に切り取った作品で有名です。日常を切り取るというと、偶然を天才的な感性でつかみ取り、作品が出来上がるように思っていました。ある展示コーナーで、ビルの窓から見下ろした路上を動く赤い傘を捉えた写真がありました。その下には、数えきれない枚数の赤い傘の写真が展示され、助手の言葉が書かれていました。赤い傘の作品は、ニューヨークの街で赤い傘を探して写真を撮り続け、雨の日、雪の日を問わず何枚も取った中の一枚でした。
赤い傘に遭遇した時にソール・ライターはどう思ったのだろう?
「あ、赤い傘だ!」と出会いを喜んだり楽しんだりしてカメラを構えたのではないか。雨や雪が降ると赤い傘に出会えると嬉しかったのではないか。
赤い傘をテーマに決めた動機を思い起こしていたかもしれません。
この一枚は無駄な作品になるじゃないか、フィルム代を回収できる一枚か、また赤い傘の人が向こうから来たのか、とは考えていないと思います。
展示された無駄にも見える膨大なフィルムとその撮影時間は、形を変えた楽しさの積み重ねのように感じました。
自分が一歩進みたい時には、赤い傘の作品の展示コーナーを思い出して、
「これから、自分がやりたい事の時間が始まる。」
「成果に繋がらない無駄なプロセスがあっても、自分のやりたい事をしている道草の時間に変えて楽しもう。」
と、独り言(セルフトーク)として、一歩先に進めるように、自分に話しかけます。
健やかな一日をお過ごしください。
では、また。